みなさんは睡眠に関する学問、睡眠学をご存知ですか? 睡眠学とは2002年に日本学術会議から提唱された新しい学問体系。睡眠に関する正しい知識を取得し健康で快適な生活を維持していく事を目的とします。ねむりと脳の謎を解き、ねむりで豊かな暮らしと社会を作るために以下の3つの観点から構成されています。
睡眠科学/睡眠の役割やメカニズムを研究
睡眠は生体防御機能を備え、情報処理など脳の高次機能を発揮するために重要な役割を果たします。現在は睡眠や覚醒にかかわる神経伝達物質の研究や睡眠を引き起こす物質の研究が盛んに行われていますが、これらの研究成果は生活習慣病の予防や治療に役立っています。
睡眠歯薬学/睡眠障害の診断、治療、予防
睡眠歯薬学は「ねむりを守り健康を保つ」という目的で、さまざまな睡眠障害の診断、治療、予防を行う学問です。睡眠障害は脳や身体の修復、成長、免疫といった機能が障害され昼間の活動性低下につながります。ただ現在はまだまだこの分野は知識や治療技術は十分にひろまっていません。睡眠歯薬学自体の教育・普及が必要と言われています。
睡眠社会学/睡眠と社会、経済問題の関係性を探る
睡眠社会学は「ねむりで豊かなくらしと社会を作る」ことを目的に、睡眠が社会、経済問題とどう関係しているかを研究する領域です。夜型社会は子供たちの活動性、学業成績の低下をもたらしています。大人においては心筋梗塞、脳梗塞の要因となり、産業事故や交通事故を引き起こす大きな要因のひとつになっています。「睡眠障害の予防により1兆6千億円の医療費が節約できる」との研究発表もあります。また社会的損失は、年間3兆4千億円とも言われます。