エムール睡眠・生活研究所では、自身の睡眠を正しく認知し、適切な対処・調整ができる『睡眠セルフマネジメント』の普及啓発を行っていますが、具体的な社会実装の方法の一つとして『睡眠・生活日誌』に関する研究開発を行っています。
睡眠・生活日誌とは
『睡眠・生活日誌』は、睡眠外来等で活用されている睡眠日誌をベースに開発した、睡眠に関連する行動を記録するツールです。
睡眠日誌は不眠のための認知行動療法(CBT-I)の一技法として、その有効性は先行研究※によって示されていますが、主に臨床現場での活用にとどまり、一般の方が予防的に使うには様々な課題があります。
※出典:Isa Okajima, Yoko Kodama and Yuichi Inoue:A meta-analysis on the treatment effectiveness of covnitivebehavioral therapy for primary insomnia, Sleep and Biological Thythms, Japanese Society of Sleep Research, 2010.
一般の方が予防的に使おうとした場合の課題例
- 記録しても専門家が見ないと改善策がわからない
- 書きづらく、継続しづらい
- 紙のため集計や傾向分析がしにくい
研究開発の概況
現在、広島国際大学の田中秀樹教授(学部長)と共に、睡眠生活習慣に関連した時刻や行動ログを記録できる日誌型のWebアプリケーションの開発を行っています。記入のしやすさ、集計や傾向分析のしやすさにフォーカスし、研究や教育活動における睡眠生活記録と振り返りの簡便化を目指しています。
また、睡眠生活習慣の改善意欲が低い方でも、継続できる要素の検証と実装や、睡眠生活習慣の規則性の度合いをユーザーが判別しやすい方法についても、実証研究を行っています。※画像は開発中のものです。
今後の展望
2023年内に、睡眠や健康増進に関する研究や教育現場を対象に「睡眠・生活日誌-無料版」をリリースする計画です。多くの研究で活用いただくことで、年代・性別・ライフスタイル・クロノタイプなどに応じた、個々人にとって最適な睡眠セルフマネジメント方法の構築と提案が可能になることを期待しています。
また、将来的にはデジタルデバイスに限らず、紙媒体など様々なシーンでの記録方法の最適化も目指していきます。
私たちエムール睡眠・生活研究所は、今後も「眠りで世界の人を元気にする」というビジョン実現につながる睡眠研究を継続的に実施してまいります。また、多くのパートナーの皆様との共同研究を通して、暮らしに取り入れることができるソリューションの開発や、睡眠に関する正しい知識啓発に努めて参ります。