エムール睡眠・生活研究所は、日本睡眠学会第46回定期学術集会の一般演題で「女子プロサッカー選手と一般女性の睡眠・生活習慣の比較」に関する研究について口演発表いたしました。
日本睡眠学会第46回定期学術集会
テーマ:夢と未来をかなえる睡眠学 ~ 生命、発達、時代をつなぐ ~
会期:2021年 9月23日(木)・24日(金)
※一般演題の会期:9月23日(木)~10月22日(金)(web配信)
研究背景
睡眠の質・量と生活の質、とくに心身の健康やパフォーマンス、健康経営などに及ぼす影響などについては、多くの研究成果が見られるようになって参りました。しかし、トップアスリートの睡眠・生活習慣の特徴を導き出した研究は少ないのが現状です。そこで本研究では、男女共同参画を一層進展させなければならない日本において、先導的でサッカー界を支えるトップチームである日テレ・東京ヴェルディベレーザの女子選手と、同年代の一般女性との睡眠・生活習慣の比較を行うためにアンケート調査を行いました。
調査概要
調査対象は、女子プロサッカー選手10~30代が15名、一般女性10~40代が40名です。質問項目は睡眠・生活習慣に関する全57問として、数値化不可等の分析対象外の設問13問を除き、44問の比較分析を行いました。設問のうち4段階評価で回答するものは1~4の数値(数値が大きいほど睡眠の質向上に有効とされる行動)へ変換のうえ分析を実施しました。 ※本研究は全ての被験者に承諾を得て、倫理的な配慮を行い実施しました。
結果概要
分析の結果、寝起きの良さ、起床から離床までの起き出し時間、睡眠時間の規則性など計13項目に関して5%水準で有意に選手群の方が良い評価となりました。また起床時刻の平日・休日差異、仮眠習慣など計7項目でも有意に良い傾向が認められました。 有意差の認められた項目についてはいずれも、一般女性と比べて女子プロサッカー選手が睡眠の質向上に有効とされる行動をとっており、寝起きの良さなど朝のパフォーマンスに関連する項目にも有意差が認められました。このことから、より良い睡眠・生活習慣、ひいてはそれらに対する意識の高さや睡眠に対する科学的な理解が日中のスポーツ選手としてのパフォーマンスを高めていると考えることができます。
今後の期待
トップアスリートをロールモデルとして、睡眠や生活の質向上を目指す一般社会人や子ども達にこれらの結果を提示することにより、睡眠・生活習慣の改善を効果的に促す可能性に期待できます。エムール睡眠・生活研究所は、今後も「眠りで世界の人を元気にする」というビジョン実現につながる睡眠研究を継続的に実施してまいります。また、多くのパートナーの皆様との共同研究を通して、暮らしに取り入れることができるソリューションの開発や、睡眠に関する正しい知識啓発に努めて参ります。