株式会社エムールの研究機関「エムール睡眠・生活研究所」はマットレスの寝心地に関係するとされる様々な要因を元に寝心地についての因果モデルを発表し、その研究論文が睡眠環境学会の機関紙「睡眠と環境」に原著論文として掲載されました。
図1
今回の研究で、寝心地に影響度の高いマットレスの要素として沈み込み、弾力性(反発力)、幅(サイズ)、あたたかさが挙げられることがわかりました(図1)。これにより、寝心地という極めて不明確な指標をより具体的かつ簡潔に説明ができるようになりました。
マットレス提案や開発の際にこのモデルを用いることで「寝心地」のよいポイントを押さえたマットレスの提示ができるようになることが期待されます。現段階では20~49歳に調査対象を絞って、モデルの形成を行っておりますが、今後年齢対象を増やし、年齢による特性を考慮したモデルの作成にも取り組む所存です。
株式会社エムールでは今回の研究成果を元に、お客様によりよい寝具をお届けできるよう商品・サービスの開発を行ってまいります。
論文情報
掲載紙名:睡眠と環境, 2024, 18 巻, 1 号, p. 1-8
論文タイトル:マットレスの寝心地に関する要因分析 ― 全体的な寝心地の因果モデルの提案―
著者名:高橋幸司, 大友香穂里, 田中秀樹
DOI:https://doi.org/10.60259/jsleepenvi.18.1_1
抄録
本研究では,マットレスの寝心地について,生地の感触,沈み込み,硬さ,弾力性(反発力),あたたかさ,寝返り,幅(サイズ)から検討し全体的な寝心地の因果モデルを提案することを目的とした。本研究のため,20歳から49歳までの240名(男性120名,女性120 名)を対象者としたWebアンケート調査を行った。調査内容は,基本情報として性別,年齢,地域,身長,体重,脊柱弯曲,身体状態,使用しているマットレスの素材,サイズ,厚みについて回答させた。重回帰分析の結果,全体的な寝心地に関しては,沈み込み,弾力性(反発力),幅(サイズ),あたたかさの4 つが有意に関連していることがわかった。寝心地に対しては,特に,沈み込みが最も関連が強く,沈み込みと弾力性(反発力)にも強い関連が見られた。また,寝心地について,BMI,脊柱弯曲など身体情報がどのように影響するかを検討した結果,マットレスの主観的満足度について,マットレスの物質的な要素だけではなく,使用者の身体的特徴が影響している可能性が示唆された。さらに,本研究結果より,複数の身体的特徴の組み合わせで寝心地に影響を及ぼす可能性が示唆された。
引用文献
本研究では下記の文献を参考、引用しております。
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