睡眠不足はもちろん、誤った知識の下でのねむりかたは、起きて活動している間の思考能力を低下させるばかりか健康を蝕みさまざまな病気を招く要因につながります。ある調査によれば、ねむりに何らかの不満を抱える人は全国におよそ3000万人に上るといわれています。また睡眠は必ずしも長時間とれば良いというものではなく“質”が問われます。正しい睡眠方法を学びエネルギーに溢れた日常を過ごしましょう。
睡眠不足による悪影響
記憶力・注意力・集中力の低下
17時間以上起き続けると脳の働きは少々お酒を飲んでほろ酔い状態まで低下するといわれます。
6時間以下の睡眠をおよそ2週間続けると、2日間徹夜した場合と同じ程度まで脳の働きは低下します。その結果、注意力が散漫になったり集中力がなくなったりします。
生活習慣病
4時間睡眠を一週間続けたあと血糖値を調べると、「朝に血糖値が高くなる」「インシュリンの分泌が悪くなる」「交感神経の緊張が高まる」などの影響が出る可能性が高くなります。
血糖値が高くてインシュリンの分泌が悪くなると糖尿病や高血圧、肥満など生活習慣病にかかる確率が上がるといわれます。
生活習慣病はその名の通り、普段の不規則な生活習慣が発症や進行に深く関わっています。
代表的なものとしては高血圧・脂質異常症・糖尿病・肥満があります。これらは「死の四重奏」と呼ばれ、複数の生活習慣病にかかると命を落とす危険性もあります。
人間関係の悪化
人は眠ることでストレス解消することが出来ます。逆に睡眠不足でストレスを溜め続けると、不眠症やうつ病などを発症する可能性が高くなります。
またイライラや不安な気持ちを感じやすくなるなど感情のコントロールが難しくなり、結果的に人間関係を悪化させてしまう危険も……。
睡眠にかかわる病気
不眠症
睡眠障害の一種で、「寝つけない」「夜中によく目が覚める」など夜間の睡眠トラブルのために、昼間の日常生活に支障をきたす状態。日本ではおとなの5人に1人はなんらかの眠りに関する問題を抱えていると言われます。
むずむず脚症候群
「むずむずする」「かゆくてじっとしていられない」だけでなく「針で刺されるような感覚や火照ったり蟻やミミズなどの虫が体に這っているような異様な感覚があらわれます。
むずむずした脚の不快感で睡眠の質が低下。睡眠の質の低下によって疲労回復力も低下し日中の眠気が強くなります。
症状が悪化すると睡眠障害や鬱病を招いて最悪の場合自殺まで考えてしまう場合もあります。
睡眠時無呼吸症候群
無呼吸とは10秒以上呼吸が止まってしまう状態。睡眠中にこの無呼吸が1時間に5回以上、または7時間の睡眠中に30回以上ある状態を睡眠時無呼吸症候群といいます。
「いびき」は睡眠中にのど(気道)が狭くなり、空気が通る時にのどが振動して音が鳴る状態。
いびきや睡眠時無呼吸には「肥満」「アルコール摂取」「上向きでの睡眠」「下あごが小さい」「加齢」「鼻づまり」などの要因が考えられます。
ナルコレプシー
昼間の猛烈な眠気や情動脱力発作、寝入りばなに現れる金縛りのような症状。睡眠麻痺や寝入りばなの夢体験による入眠時幻覚を主な症状とする慢性疾患になります。
10代で発症する場合が大半で中年以降に発症することは稀。およそ3000人に1人の頻度でみられます。