体内時計(「生物時計」とも言う)とは、生物が生まれつきそなえていると思われる、時間を測定するしくみのことである。 生物時計はいくつも知られているが、たとえばサーカディアンリズム(概日リズム)、光周期性(光周性) などがある。周期は短いものから長いものまで様々あり、短い周期のものでは、酸化還元補酵素の還元度の周期変化による秒・分単位のもの、また心臓の拍動、脳波、などがあり、周期の長いものでは、鳥の渡り・魚の回遊・植物の開花などに見られるように季節単位(年単位)のものもある。だが周期性のものだけでなく、一定時間の経過だけを示す「タイマー型生物時計」(砂時計型生物時計)と呼ばれるものもあることが知られている。
特によく知られているのは日周の機構である。動物・植物を自然環境から切り離し、時間帯で変化しない定常光のもとにおいても、動物の排出物質の濃度は日周リズムを示すものが多いことなどから動植物には時計機構が内在していることが判っている。ただしその機構がどこにどのような形、しくみで存在しているのかについては詳しくは判っていない。ただし生物の体内の日周リズム機構は正確に24時間周期で動いているわけではない。(多くの場合)少しづつ遅れる方向にズレている。そういったわけで「circadian rhythm サーカディアンリズム」「概日リズム」と呼んでいるわけである。自然界に生きている生物は、日照の有無による明暗、昼・夜があるので、それを用いて生物時計のずれを補正している。
鳥が渡りをする時に太陽の位置を見て方角を定めることができること(太陽コンパス)などからも生物時計が確かに存在していることが知られている。他にもミツバチが外界から隔てられ日の光も入らない巣の中で仲間に蜜の方向を仲間にダンスで知らせる方法も、その時刻での太陽の方角を規準にしているので、そこにも時計機構が介在していると想定されるのである。また、植物の花・芽の形成が日長に支配される現象も、時計機構と密接な関係がある。
1960年ころから生物時計に対する生物学者の関心が高まってきた。日本でも同様で、1970年代に研究が活発になり生物リズム研究会が生まれ、1990年代に日本時間生物学会へと発展した。
資料参照/ウィキペディア