Q 『みどりのマキバオー』を描く事になったきっかけを教えて下さい。
当時の少年ジャンプの担当編集者が競馬好きで「競馬漫画やりませんか」と軽く言われ、僕も「いいですね」と軽く受けて、割と簡単に決まりました。最初はそこまで本格的に競馬をテーマにしようとは考えていませんでした。ギャグ漫画のテーマのひとつ位にしか考えていませんでした。
Q 競馬についてはそれから勉強し始めたのですか。
そうですね、当時は競馬ブームでもあったので、読者にも受け入れる体制はあったと思います。ただ、先ほども言いました様に、競馬の世界を詳細に描こうと意識はしませんでした。いまもそうですけど漫画として読んで楽しいかどうかのほうを大切にしています。
寝ずに68時間連続で作業
Q 若い頃は結構、無茶な生活をしていた。
体力的に余裕もあったので徹夜はしょっちゅうでしたし漫画家とはそういうものだと思っていました。休みも当然なし。『サバイビー』(1999年)という作品を描いている時が一番、大変でした。ほんとに「俺はピンクレディーか!?」というくらい忙しくて、２、３時間睡眠なんて当たり前でした。
最長記録は68時間連続で作業を続けました。作業をしていて記憶が飛んでいる時間帯があって、おっ、と気付くと登場人物の顔に謎の数字がペン入れされていた。目の所には「68」と言う数字。68時間寝ていないから描いたのか!? 自分でも爆笑して描き直しました。
Q もはや体力、気力の限界を超えている。
とにかくずっと起きて描き続けなければいけない。自分だけ寝ないで起きていて、アシスタントを交代制にして1人ずつ寝てもらいました。
誰かしら起きている人がいてたまにしゃべったりすると起きていられるので。でもアシスタントが「あいつ、２回目の寝に入ったな」という位からイライラして……。
まだ漫画家になりたててモチベーションも高かったので出来たと思います。いま思えば信じられないですね。
寝室で寝ているのはペットの犬
Q 現在の睡眠環境について教えて下さい。
特に拘りはありませんが、ベッドで寝ています。常に眠い状態が続いていて限界まで起きているので「こうしなければ眠れない」という事はありません。ただマットレスは硬めが好きで、枕は硬めで頭の位置が高くならないと眠れません。「なんだ、睡眠に拘っているじゃねえか!?」って言われそうですね(笑)。
Q 頭の位置が高くなるタイプの枕が好きなのはどうしてですか。
映画やテレビを観ながら限界まで起きていて眠る習慣が染み付いているせいかもしれませんね。
ちなみに枕の構造は真ん中と両サイドが違う素材のものを使用しています。でも週の半分は寝室では寝ていません。映画やテレビを観たまま床で寝てしまったり……。「じゃあ観るなよ！」という感じですけど、どうしても趣味の時間も取らないと納得できない(笑)。
寝室のベッドで寝ているのは、自分よりも飼っている犬のほうが多いですね。
自分がいなくてもベッドで寝ています。
Q 今後、仕事としてやってみたい事は。
ないです！(笑)。
動物の世話くらいですかね。
いまはとにかく限界に疲れているので、休む気満々です。
そろそろ休まないと本当に死んでしまいますね(笑)。
例えるならば、学生時代、文化祭の準備を何ヶ月も続けてきて
「さあラストスパートだ！」となるじゃないですか。
週刊連載の仕事は、そのラストスパートの部分を毎週やり続けるようなものです。
Q なるほど。
文化祭が終われば、普通は「はーっ、終わった！」と気を抜く事ができますよね。でも週刊連載をしていると、達成感を味わう暇もなくラストスパートばかり毎週続きます。マラソンのラスト５００メートルのダッシュを永遠に走れ！と言われているようなものですよ。
Q ではもし休みがもらえたら。
おそらくずっと海にいます。
漫画はしばらく描かないと決めています。でもそうして休んでいるとなぜかまた描きたくなるんですよね(笑)。
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