敷布団が出来るまで/さくら産業秩父工場


さくら産業が生産するエムールオリジナル敷布団。高品質さが支持されてこれまで8万人に愛用されているが、完成までにはどのような工程があるのか。新人広報マンがさくら産業で取材。目の当たりにしたのは機能美あふれる機械と人々の情熱。そして完璧なる仕上がりで芸術作品と言っても決して大げさではない最高品質の布団でした。

敷布団の断面

敷布団と掛け布団の大きな違いは「固わた()」があるかないかになります。敷布団は板状のマットレスのような「固わた」をやわらかい「巻きわた」で包んで型崩れしにくくしています。
掛け布団は、敷布団で言うところの「巻きわた」のみで構成されています。
「固わた」は芯材になるため材料はポリエステル
100%になります。途中で炉に通して板状に固めますが製作工程は「巻きわた」と同じです。

掛布団 1タイプのわたのみで構成
敷布団 2タイプのわたのみで構成 巻きわた(ウール 羊毛 混合など)/固わた(ポリエステル100%)
  • 敷き布団の断面(候補)

原料投入


素材はポリエステル。一番左は接着剤の役割を果たすポリエステルわたで、140度で溶け出し繊維を固めます。 真ん中は繊維の中心がマカロニ状になっている中空タイプのポリエステル。ポリエステル繊維の比重は綿繊維より10%程度軽いのですが、中空の分だけさらに軽くなります。 不純物を取り除かれた3種類の綿はタンクの中で混ぜられます。
中実タイプのポリエステルのみでは固くなりすぎてしまうので、中実タイプの軽いポリエステルをブレンドする事でほどよい固さに調整されます。

計量と打綿


粗い針から細かい針へとバトンタッチしながらわたの繊維をはがしたのち打綿機を使い均一に。
均一化された綿は薄皮のように広げられます。その様子はまるで川の流れのようで美しい!

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  • ふとんができるまで_追加の写真
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  • 均一にブレンドされたポリエステルわたを成型機を使い重ねて行きます。
    エムール製の敷布団の場合は8層。これを炉に通して固めます。

多頭(針)キルトミシンで縫い付け


前10機、後ろ11機の合計21機のミシンが並んだ多頭(針)キルトミシンを使い巻きわたを織ります。汚れている部分は切り取り継ぎ足しをして織っていきます。
ミシンは日本全国でも3社しかない布団用大型ミシンのメーカー、コンドー・マシナリー製。「東日本全体でも10台前後しかない」とのことでお値段は一台1500万円。 小嶋のアイデアで布団の横幅を2枚分同時に縫えるよう今年に入ってからカスタマイズされシングルサイズの布団の生産能力がなんと2倍に。
さくら産業では縫い付け糸が重なる部分にピッチのずれを確認するため小さなひし形の模様が出来るように仕上げます。

フチの縫いつけ(ヘム巻き)


ドイツ・アドラー社製の付けミシンを使いまわりを留めて行きます。敷布団の場合は巻きわたの中に固わたをサンドして縫製。その際にタグ関連も同時に縫いこみます。 技術介入が高い工程で熟練度が問われます。
「今日来ていきなり出来るというものではない。腕次第なのでベテランさんが多いですね」(小嶋談)

検針と梱包


金属類など布団の中に異物が混入していないかセンサーを通して入念にチェックします。精度は非常に高く2ミリ以下の金属破片も見逃しません。
検針が終わると掛けふとん、敷ふとん、そして枕を揃えてラッピングして完成。2階にあるエムール商品専用の倉庫へと移動させて出荷を待ちます。

かけ布団のできるまで


掛け布団の場合も基本的な工程は同じ。
大きな違いは固綿を入れるか否かになります。 かけ布団の場合はここで筒状の布に入れられます。